第6回 芹 (雑煮、鍋に欠かせぬ香り)

芹のないお雑煮・切りたんぽ鍋なんて、山葵のない刺身のようなもの。
一寸入れただけで気高い芳香が食指を動かす。
芹は枕草子にも出てくる日本古来の野菜。 宮城では名取増田・河北等で栽培されるが、特に増田地区は全国でも5本の指に入る産地。
芹作りに水は欠かせず、当地区では豊富な自噴の地下水を利用している。
地下水ゆえ水道水より温かいとはいえ、冬場の芹田での水作業は想像だけでも厳しい。

名取の地名はアイヌ語のニトリから来たと言われるが、ニトリは湿地の意であり、水が豊富なこの地区は芹栽培に適しているのだろう。

芹を食べる部位の中心は、地方により異なる。
関東では葉から茎、宮城は茎、秋田は茎から根で、特に切りたんぽ鍋には根が入る。
今度芹を購入したら根を捨てずに、鍋に入れたり、キンピラで酒の一品にと、新たな味と香りを楽しむのもまた面白い。
 


河北新報夕刊 「食彩マルシェ」 掲載分