第24回 里芋(胃壁を守る独特のヌメリ)

昔の日本人にとって芋と言えば馬鈴薯や薩摩芋ではなく里芋であった。そして副食ではなく米同様に主食の位置付けの大切な作物であった。
旧暦の8月15日(新暦で今年は9月28日)が、一年で一番清らかで美しい「仲秋の名月」
つまり「芋名月」の日である。
この「芋名月」の芋が里芋であり、5個或いは15個飾る団子も関西では里芋を形どった団子や里芋そのものを奉げ、名月の鑑賞だけでなく今年の里芋の収穫を祝い祭る収穫祭を意味し、そのことからも重要な芋であったことが想像される。

里芋は、定番のお袋の味の煮っころがしから、秋のイベント「芋煮会」の主役や、また上品な味の白煮まで幅広い料理に使われる。そして独特のヌルヌル、ヌメリは胃や胃壁を胃酸から守り潰瘍を予防する働きがあり、お袋さんのように若干まとわりつきはあるが、健康を気づかう優しさを持った野菜である。
芋名月までもうすぐ。日に日に丸くなるお月さんとお袋さんの面影を重ね、今年も秋の収穫に感謝しながら里芋料理を楽しみたい。

 
河北新報夕刊 「食彩マルシェ」 掲載分